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「リズガルド国から来た、薬師のリリスさんですね。はい、登録完了しました!」
受付にいた男がにっこりと笑うと机に置いてあった置物がジリリリリリリ!!と音を立てた。
「おっと、忘れてた。えーと、リリスさんの番号は200456番ですね!」
200456と書かれた手のひら大の白い球体を渡される。
「え?これなんですか?」
「明日、コロール国の伝統行事が行われるんですよ!女性限定で!」
女性限定?なんだそれ?
「今日の夕刻5時までに国民登録している女性が全員参加なのです。さて、その玉にあなたの息を吹きかけてください」
よく分からないまま、ふぅー…と吹きかける。
ぽぅと、暖かくなり少し赤みを帯びるとまた元の白い球体へと戻る。
「うん。上手に登録できましたね!これで明日の伝統行事を待つのみです!」
「そんなに大々的にやる行事なんですか?」
鞄の中に白い球体を入れながら尋ねる。
「ええ!明日はコロール国の第一王子ヴォルフォエル殿下が立太子される日なのです!それに伴って、ご正妃さまを選ぶ日なのですよ」
立太子…ご正妃……。
「へぇーそれはめでたいですね!そんな時にこの国に入れてタイミングがいい!!」
「そうですね!さっき5時で締切だったので、リリスさんは本当にギリギリでした!」
ギリギリ?
「え?…ちょっと待ってください。話がよくわからないんですが……。一体何がギリギリなんですか?」
「え?…ああ、そうか。リリスさんはリズガルドにいたから知らないんですね。コロール国では殿下が立太子される時にご正妃さまを選ばれます。そのご正妃さまの候補はコロール国の15~20歳の全女性になります。貴族、商人、農民、一切関係ありません!王太子に選ばれた女性がご正妃さまになるのです!!」
コロール国の15~20歳の女性…。
貴族、商人、農民一切関係ない…。
「ま、マジッすか…」
呆然と呟く。
だけど、ちょっと待って。
「さっき、ギリギリって言ってましたけど…もしかして私もその中の候補に入ってるんですか?」
「ええ、コロール国民の女性なら強制参加なんです。先程の時計で5時までにリリスさんも国民登録されましたので、当然リリスさんも参加しなくてはなりません」
「それはつまり、もし私が今国民登録しに来ていたら…」
「時間外登録なので参加資格はありません」
えぇー。。。こんなことならもう少し遅らせて登録するんだった。。。
しかしながら、この国に着いてからムールカさんが国民登録を早く早くと急かすから。
「この国民行事は国民ならだれでも知ってるんですか?」
「そりゃ、伝統行事ですから!そして、ご正妃さまに選ばれれば最高の幸運を得た娘としてパレードが開かれます」
最高の幸運を得た娘──。
確かに身分関係なく選ばれるなら最高のシンデレラストーリーだ。
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