☆強運娘の不幸な話☆

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そこには金髪、碧眼のめっちゃイケメンがいた。 背も高い。とはいえ、私自身155しかないので大体の男性が私よりも高いのだが。 そのイケメンが…身をよじるように大笑いしている。 「あ…の?」 「い、いや。悪い。まさか正妃になりたくない女がいるとは思わなかったからな。リリス…と言ったか?なんでそんなにかたくなに拒むんだ?」 「女がすべて正妃になりたいって思う方がどうかしてるわ!」 「お前はそうでも他の女は違う。コロールの伝統行事を知っている他国の女もその為だけに自国を捨ててこの国に国民登録しにくるぐらいだぞ」 「はぁ?バカじゃない?…私はこの国について間もないわ。王族の衣食住は国民の税金によって賄われている。生まれてからずっと国に住んでいる子ならわかるけど、ポッと出の女に税金を払いたくないでしょう?普通?」 私の言葉に男はニヤリと笑う。 なんというか…意地の悪い感じの… ゾクリと拒否反応を全身で感じる。 「本当に面白いなお前。…もし、お前が正妃に選ばれなかったら俺のモノにならないか?」 顎をクイッと上げられて男の顔が鼻の頭が触れ合う距離感に来る。 探るような碧眼から目がそらせない。 本能がこの男が危険だと警鐘を鳴らす。 だって、その瞳には何の感情もない。 震えそうになる手に力をこめてパシリと男の手を振り払う。 「冗談じゃない。私は私を愛してくれる人のモノになるの。それはあなたじゃないわ」 「そうか、残念だな。お前なら俺を死ぬまで楽しませてくれそうな気がするのに」 手を振り払われたのに対して気にせず肩をすくめ、クックっと笑う。 「その玉に書かれた番号は行事に参加する人数だ。お前が最後の参加者200456人目。王妃になれるのは200456分の1ってことだ。仮に参加しててもかなり低い確率だと思うがな。それとも…必ず選ばれる絶対的自信がお前にあるなら別だが」 テーブルに置いた球体を私に手渡しながら数字を見せる。 「お前は200456分の1を勝ち取るほどの強運の持ち主か?」 「…そんな強運を持ってたら今頃大富豪でしょうね」 はぁと手渡された球体を一度見、受付男性を見る。 「ごめんなさい。ちょっと意地悪してしまった。移住先の国のことを調べなかった私の落ち度だから気にしないで」 「あ…いえ」 「じゃあ、迷惑かけたわね」 そう言ってその場から離れようとした。 が。 「………ちょっと、まだ何か用なの?」 イケメン男に腕をつかまれて前に進めない。 「俺の名前はエルガード。王宮第1騎士団の隊長だ」 「へ?は…?第1騎士団って…陛下の??それも隊長!?あんた何歳よ!」 隊長になるには若すぎるでしょ!! 「今年で20歳だ。…エルと呼んでくれ。お前には略称で呼んでもらいたい」 掴まれた手の甲にチュッとリップ音。 それも私から目を離さない。。。 先程の何の感情のこもってない目ではなく、心まで絡めとるような色気を含んだ瞳。 かぁぁぁっと全身が沸騰するんじゃないかと思うほど熱くなる。 「ばっ、バッカじゃないの!!あんたなんて!あんたなんて…変態で十分よ!!!」 腕を振り払いたいのに振り払えない。 決して強く握りしめている訳では無いのに振り解けない絶妙な力加減。 「いーや。俺はお前が気に入った。…絶対手に入れる。せいぜい、王妃に選ばれないよー祈っとけ!」 べろりと手の甲を舐められる。 全身に電流が流れたようにビリビリっと衝撃が駆け巡る。 「ぎゃ────!!!!変態────!!!」
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