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と、いうようなことがあったのだが──。
「リリスさん?いえ、リリス王妃?どうなさいました???」
微動だにしない私に、王宮からの使者が怪訝そうな顔を向ける。
「わ、私………」
足元のクラッカーの残骸を目の端に捉えながら俯く。
「王妃辞退しますからー!!!!!」
とりあえず・・・・・逃げた──。
ヴォルフォエル殿下の立太子によりお祝いムードの街中を必死で逃げる。
後ろは振り返らない。前だけを見て!!
後方から聞こえてくる「リリスさまー!!お待ち下さーい!!!」の声は軽く無視をする。
人混みを縫うようにして走り抜ける。
「初めて小柄なのが役立ったわ」
とはいえ、いつまでも逃げてばかりではいられない。
どこへ行く?ムールカさんのとこ?
……いや、ダメだ。彼女のことだから王妃に選ばれたなんて口にしたら両手を上げて大喜びしそうだ。
ではどこへ?
私の王妃になりたくない気持ちを知っていて、手助けしてくれそうな人──。
「権力に弱そうなのが難点だけど・・・・・」
背に腹は代えられない。
昨日、国民登録をした受付男性目掛けて全力疾走をした──。
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