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薬を飲まされてから30分たった頃、身体に変化が現れ始めた
脈は早くなり、身体は火照っている
あの人はそんな俺に見向きもせずに優雅な朝食を楽しんでいる
「おい、そこの新聞をとってくれ」
「…はい」
俺はあの人に変化を見せたくなくて平然を装いながら対応する
「お持ちしました」
指先があの人の手に触れてしまった
ビクッ バサッ
過剰に反応してしまい、新聞が床に落ちてしまった
「っすみません」
俺はすぐに新聞を拾おうとしゃがみこむ
あの人は低い声で
「動くな、そのままでいろ」と命令する
俺は驚いてしゃがんだまま、あの人を見上げた
「っぁ…」
あの人は髪の毛を掴み、俺の顔をまじまじと見つめる
「効いてきたな」
乱暴に俺の髪から手を離したかと思うと
「部屋に戻る、新聞とコーヒーを持ってこい」
そう言い残し、あの人は部屋に戻っていった
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