新しい主人

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和人様の息子である神宮明を『あの人』と呼ぶのは、彼が嫌いだからと言うのもあるが 本当は羨ましいからなのかもしれない 和人様があの人の名前を呼ぶ時はなんというか…とても優しい感じで、どんなに愛されていても本当の息子には叶わないと思い知らされているようだった 和人様が亡くなった後 悲しみに暮れている時間はなく、執事として葬儀の準備など仕事はたくさんあった 休む暇なく仕事をした方がちょうど良かった 葬儀も問題なく終わり、和人様の世話をしてた使用人達が集められた 「俺の所は人が足りている 金を渡すから出ていけ」 あの人の言葉に使用人達が動揺している 俺は意外と冷静だった 和人様のいない神宮家は辛くて冷たすぎる だからこの話はちょうど良くて嬉しいとも思ってしまった 最初こそざわめいていた使用人達も また一人、また一人とあの人の所に行き 書類にサインをする 俺は執事として使用人達のことを見送り 最後にあの人の元に訪ねた
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