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ドアをノックし名前を言うと
「入れ」とあの人の冷めた声が聞こえた
中に入るとあの人は怠そうに椅子に座り
資料を読んでいる
俺が歩いてくるとあの人は、資料から目を離さずに「お前で最後だな」と冷たい口調で言い捨てた
俺は早くこの場から去りたくて
「はい、そうです
どの書類にサインすればよいのですか」
あの人は俺の言葉を聞くと何故か笑いだした
ひとしきり笑い終えると
「ははっ、はは…
俺がお前を手放すと思っていたのか」
俺は思ってもいなかった状況に
困惑を隠せない
「なんで…」
あの人は俺の困惑した顔を面白がるように
「お前は今日から俺の執事だ
俺の言うことは絶対聞け、犬のようにな」
言いながらにやりと笑った
和人様以外の執事になんて…
「嫌です、ましてやあなたの執事なんか」
思ったことを咄嗟に言葉にしてしまった
あの人はゆっくりと椅子から立ち上がると
いきなり俺の髪の毛を掴み、勢いよく机に叩きつけた
「っい」
「お前に拒否権はない
父がお前にいくら使ったと思ってる、いつも父はお前のことばかり…」
あの人は言いかけた言葉をのみこんだ
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