19. 孤独

2/5

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「例の店」で浩子はずっと待っていた。 これまで約束に遅れたり 反古にすることなどなかったコウが まだ来ないのには きっと いかんともしがたい理由があるのだろうと 浩子は思っていたからだ。 つい数分前のこと・・・ 「こら岩田!ちょっと早くしなよ、アタシ急いでんだからさ」 「あ、すみません田仲先輩、大事なデートの日に」 「あん?誰がデートだって?」 「あ、すみません、すみません」 中学時代からバスケ部の後輩であるヒロシは 浩子には全く頭が上がらない。 「しかしこんな怖い田仲先輩が男子の前では どんな顔してるんだろ?」 「何か言った?」 「あ、いえ、何にも、それより壬生川先輩って あの美人な人ですよね? マジでいいんすか?俺なんか紹介して」 「由里のリクエストだからね、仕方ない ほんともったいないよ、キミなんぞには」 「ありがとっす」 「礼を言うにはまだ早い」 「やっぱ…田仲先輩を好きな男子なんて、 ある意味最強だよな」 「あん?何か言った?」 「あ、いえ、何でも…」 「ほんとに…もう、由里は何してんの?」 浩子は少し焦っていた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加