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小学校6年以来同じクラスになった
浩子と美月
二人には誰にも話していない過去があった、
そして他にこの「事件」を知っていたのは
由里だけだった。
「浩子、これでやっと穏やかに生活できるね」
「もうほんとに悪夢だったよ、何が悲しくて、ねえ」
「美月のおかげだよね」
「ううん、私は何も…」
「で、さ…この前話してた美月が気になる人って?」
由里はいつでもこの手の話題が好きだ。
「え、言えないよ」
「アタシが素行調査してあげるよ、また厄介なのに引っ掛かってもいけないし…ね」
「じゃあ…お願いしよっかな、浩子に」
その名を聞いて驚いたのは由里だった。
「えー!高村くん!」
「しーっ!聞こえちゃうよ!」
「誰?高村って」
「そうか、浩子は知らないんだ、私らは去年から同じクラスだったから」
「へぇ?そうなんだ、どの人?」
美月と由里が二つ隣の席を指差す、
浩子の斜め前の席に座っていたのが…
コウだった。
服装は明らかに校則に違反している、
髪色も少し明るい
見るからに真面目とは言えないその風貌に
浩子は嫌な予感がした。
「マジで?ヤバいじゃん、どう見ても…ヤバいヤツじゃない?」
浩子は小声で二人に告げた。
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