21. 深夜

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深夜12時過ぎのことだった。 「浩子、電話よ。壬生川さんから」 家に帰っても止まらない涙と 空虚さに襲われていた浩子は 母親の声すら苦痛に感じながらもこう答えた。 「いないって言ってよ」 「こんな時間にいないなんて断れないじゃない。 壬生川さん、浩子が話したくなるまで 受話器上げて待ってますって言ってるのよ」 「もう、何なの!由里は…こんな時間に」 浩子は仕方なく受話器を取った。 「どうしたの?由里」 「あ、浩子?ごめんごめん」 「こんな時間に何の用?」 「あ、実はね何か私、責任感じちゃったから、連絡入れなきゃなって思って」 「何のこと?」 「今日、会えてないんでしょ?高村くんと」 「え、何で、そんなこと知ってるの?」 一通り、由里の話を聞かされた浩子は 電話を切るなり 「はぁ…」 大きくため息をついた。 そこには落胆と安堵の思いが交錯していた。
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