23. 12月…街は

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浩子も音楽好きではあるが 美月ほどマニアックな嗜好ではなかった。 バンド仲間とでも話さないような音楽の話を まさか同学年の女子と出来るとは 思ってもいなかった。 「おい?」 「…え?」 「ニヤけてるぞ、少年」 「あ、え、俺のこと?呼んだ?」 先に声をかけてきたのは浩子だった。 「どうしたの?ニヤニヤして気持ち悪い」 「気持ち悪い…って、そんなにニヤけてた?」 「かなり、ね。美月と何話してたの?」 「え、いや、別に、ちょっと音楽の話をね」 「案外、お似合いなんじゃない?」 「いやいやいや、それは…ないでしょ」 「そっかなー?」 「ないない」 「美月が聞いたら悲しむよぉ」 「そんなことないって!」 「ムキになるところが怪しい」 「なってないって!!」 何故か僕は必死になって全否定した。 他の人に言われるならともかく 浩子からそう思われるのは何だか心外だった どことなく後ろめたい気がしたのだ。
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