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浩子も音楽好きではあるが
美月ほどマニアックな嗜好ではなかった。
バンド仲間とでも話さないような音楽の話を
まさか同学年の女子と出来るとは
思ってもいなかった。
「おい?」
「…え?」
「ニヤけてるぞ、少年」
「あ、え、俺のこと?呼んだ?」
先に声をかけてきたのは浩子だった。
「どうしたの?ニヤニヤして気持ち悪い」
「気持ち悪い…って、そんなにニヤけてた?」
「かなり、ね。美月と何話してたの?」
「え、いや、別に、ちょっと音楽の話をね」
「案外、お似合いなんじゃない?」
「いやいやいや、それは…ないでしょ」
「そっかなー?」
「ないない」
「美月が聞いたら悲しむよぉ」
「そんなことないって!」
「ムキになるところが怪しい」
「なってないって!!」
何故か僕は必死になって全否定した。
他の人に言われるならともかく
浩子からそう思われるのは何だか心外だった
どことなく後ろめたい気がしたのだ。
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