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「今日、晩ご飯いらないから」
「あら、今年のイブはお出かけ?」
「ちょっとね」
「浩子、2年になってから随分楽しそうね、美月ちゃんと久しぶりに同じクラスになれたから?
それとも何か他にも?」
「確かに楽しいけど…そ、そんなことないよ…」
「隠してもお母さんにはわかるんだから」
「何にも隠してないよ」
「もしかして好きな人、できたとか?」
「もう!そんなんじゃないってば、行ってきまーす」
母親との会話の後、玄関を出た浩子は
やや赤面しながらもその表情はほころんでいた。
「これが二人で出掛けるの最後になるのかな?」
タカムラのせいで何回も泣いた
キライだからじゃない、のはわかってる。
でも…
アイツはアタシの「事情」なんて
知らないんだから
今日だけでも自分の気持ちに素直になろう。
これまでみたいにつまらない意地を張ったり
過去に縛られたりしない
そして美月のことも…
何も考えずにとことん楽しもう、
浩子はそう決めていた。
でも、それで前よりも
もっとこの気持ちが大きくなってしまったら…
あぁ、アタシ
どうすればいいんだろ?
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