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「さ、早く行こうよ」
「え?ここから一緒に?」
「そ」
いつもなら現地集合なのに今日の浩子は
一緒に教室を出ようと言い出した。
よほどご機嫌なんだろう、僕はそう思った。
これまでなら何か勘ぐられることを
気にしてばかりだった浩子から
そう言う感覚がなくなってきたのは
もしかしたら今や僕と浩子は知らない間に
クラスで公認になっているのでは?
そんな雰囲気すら漂っていた、
それはそれで悪くない、僕としては。
浩子もそうなのだろうか?
とは言え、さほど必要以上に
周囲を気にする素振りは見せず
二人して教室を後にした。
今にも泣き出しそうだった冬の空は
こらえきれずぽつぽつと小雨を降らし始めた。
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