25. 赦免

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僕たちは二人で 駐輪場でレインコートを羽織っていた。 「ここから一緒に出発すればさすがに前みたいな事はないでしょ?」 「いや、油断は禁物。校門にゾンビとかいたらどうする?」 「…バカなの?真顔でそんな事言って」 「…バカです」 浩子はいつもの癖なのか フードの紐を顎の前で思い切り縛っている その姿があまりにも無邪気で僕は吹き出しそうになった。 「じゃ行く?」 「ははは、何かてるてる坊主みたいだな」 「アタシは前からこうなの!そっちだって… あれ?」 「俺はフード被らない派」 「バカじゃないの?雨降ってるのに」 「濡れるくらいがちょうどいい」 「訳わかんない」 「男のロマンってやつ」 「もう、全然訳わかんない」 「でもさ」 「何?」 「そんだけかわいいてるてる坊主なら雨もすぐにやむよ」 「あっ、え?、や、やむでしょうね、そりゃ」 「かわいいって認めたな」 「あ、あ、当たり前でしょ、バカ、バカ!」 「バカの安売りしすぎ」 「バカだもん!」 と、そこへ声をかけてきたのは… 「あ、高村先輩、おつかれっすー」 「お!ヒロシか」 岩田だった。
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