28. 薄光皓々

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えっ! な、何言ってんのアタシ! もうタカムラと出かけるのは 今回限りって決めてたのに… アタシは美月から…あの日 「気になる人がいる」って言われて ただそれだけで ちょっとタカムラの「過去」が気になったから 代わりに近付いて「査定」してただけなのに… どうしよう… 「また行きたい」なんて言ってしまった… 美月に何て言えばいいんだろう。 このままじゃ 美月に嘘ついてることになる。 タカムラ、あんたのせいだからね… 「ん、何か言った?」 「何でもないよ、バカ」 「ははっ、いつもの浩子だ」 「もう!バカ!」 「今日はどこまで送ってこうか?」 「そこでいいよ」 「遅いから遠回りでも家の前まで、でいい?」 「…そう、いいの?」 「通りたくないんだろ?あの道」 「あ、ありがと」 もうこのまま流れに任せてしまおう、 後のことはその時…考えよ うん、それくらいなら それくらいなら美月だってきっと… 「さっきからひとりごと?」 「え、何も言ってないよ、もう!」 「そうかなぁ、何か聞こえるんだけど」 「タカムラのバカ!」 この後も他愛のない会話は続き 浩子の家のすぐそこまで来た、その時だった。
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