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それは突然の報告だった。
「おいトモキ、バンド辞めたいってどういうことだよ?」
「いや、あのさ、もう春から受験生だろ?
親がうるさいんだよ」
「他のヤツらには話したのか?」
「いや、まだ話してない、コウから伝えてくれないか?」
「何言ってんだよ、俺の権限で決められるわけないだろ、それならみんなの前で話せよ」
「あ、あとさ…田仲とはうまくやってるみたいだね」
「別に付き合ってるわけじゃないけど…何か引っ掛かるんだよな、お前の態度が」
「だからオレは前に話した通り…田仲には」
「じゃ何でさっき…ま、どうでもいいや」
「それじゃ後はよろしく…」
「おい、ちょっと待てって!」
クリスマスイブ
浩子を送って帰ったばかりの僕に
かかってきた突然の電話はトモキからだった。
あまりにも不可解だった。
何故あの場にトモキが居合わせたのか?
しかもこれまで何の問題もなく続けてきた
バンドを離脱したいと言ってきた。
その本当の理由が
親の苦言や学業だとはとても思えない。
僕の知らないところで
何かが起きているのでは?
そんな胸騒ぎがした。
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