32. 再び

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コウに背中を見送られながら 浩子は突き当たりの角を右に曲がった。 この道を真っ直ぐ歩けば自宅までは ほんの数100メートル、 なのに「あの日」以来 この道を通ることができなくなった。 それはあの悪夢のような出来事のせい それさえなければアタシは…そして 美月にもあんな思いをさせずにすんだのに… でも、もう大丈夫かも知れない アタシはもう一人じゃない、そんな気がする。 もう自分の気持ちを抑え込むのはやめよう でもこんなこと話すと美月に怒られるかな? 怒られるだけじゃなくて 嫌われるかも知れない。 でも、もしかしたら…もしかしたら美月だって アタシの気持ちに気づいてるかも知れない。 どうすればいいんだろ? 浩子は一度立ち止まって大きく息を吐き出した。 家に帰るまでに結論を出さなきゃ またこのままうやむやになってしまう。 そんな思いもあってこの道を選んだんだから。 よし!決めた 明日、美月に話そう 今の自分の正直な気持ちを。 決心のついた浩子が 少しだけ小走りで再び歩き始めた その時だった… 「何だよ?浩子じゃねえか、久しぶりだな 何してんだよこんなとこで?」 「何でこいつが?こんなとこに…いるの?」 浩子の前に現れたのは 甲斐・・・ 浩子に忌まわしき思い出を刷り込んだ男 甲斐雄一だった。
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