04. 黎明

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そんな葛藤と戦っている最中に 「ねえ…」 後ろから声が聞こえた。 誰の声かわからなかったので 僕は聞こえないふりをして無視していた。 するともう一度 「ねえ、ちょっと…聞こえてる?」 すぐ後ろから聞こえた声の主は浩子だった。 浩子から声をかけられたことで 驚きのあまり振り返った僕の目の前には 今まで見たことのない笑顔の浩子がいた。 笑顔と言うよりは どこかおどけたようなはにかんだ表情だった。 「え?俺?」 浩子は僕を見て小さく頷いた。 こんな形で初めての接点が生まれるとは 思ってもいなかった。 これが記念すべき初めての会話になる? 何て言葉を返せばいい? 早く消しゴム、拾ってあげなきゃ… 他の誰かに拾われる前に。 僕の鼓動はこれまでにないくらい高鳴っていた。
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