06. 融和揺籃

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今の席の配置がよほど心地よかったのか クラスの誰もが 席替えをしようと言わなくなった。 今月から浩子は後ろの席ではなく僕と隣り合わせの席になった。 例の「椅子の件」による僕の苦言を ようやく智久が受け入れてくれたのだろうか? いや彼のことだ、 僕と浩子を隣にすることで 二人の関係性が進展するのを 遠巻きに眺めるつもりなのかも知れない。 そもそも席替えを希望していたのは クラス内のごく一部の生徒だったから 依頼が無いのであれば 席替えの必然性は不要となるわけだ。 教室の真ん中辺り、後ろから3番目 僕の隣には浩子がいて、その隣には美月 美月の斜め前には由里 祥二も相変わらず由美子と隣の席 今やこれらの配置は人知れず指定席と化していた。 そんな「ある日」はあまりにも唐突にやってきた。 英語の授業中に 浩子は隣の席でうとうとと居眠りをしていた。 これまで知らなかっただけで 浩子は僕の後ろの席にいた頃から こんな感じで時々居眠りをしているらしい。 僕は英語の授業が嫌いではない それなりに真面目に話を聞いていた。
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