06. 融和揺籃

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「それじゃ田仲さん」 タイミングの悪いことに居眠り中の浩子は 先生に当てられてしまった。 ハッ!と言う表情で目を覚ます浩子。 別に浩子の事をかばうつもりはなかったが 僕は答えを書いたメモを 先生に気づかれないように浩子の机に置いた。 おかげで事なきを得て 浩子も先生から注意されずに済んだ。 それは別にカッコつけたわけでもなく 恩を売ったつもりもない ごくごく自然な気持ちの流れからだった。 そもそも女子に恩を売るなんて 男子にあるまじき行為だと思っている、 僕なりの美学のようなものだ。 1日の中でほんの一言でも話すようになると 数ヶ月前のように全く気にも留めずに スルーできない、それだけだった。 もちろん浩子に対して 何かしら「いいカッコ」をしたい、 その気持ちが全くなかったとは言わないが… 休憩時間になり、席を立とうとしたその時だった。 「ちょっと…いいかな?」 浩子から声をかけられた。
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