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「それじゃ田仲さん」
タイミングの悪いことに居眠り中の浩子は
先生に当てられてしまった。
ハッ!と言う表情で目を覚ます浩子。
別に浩子の事をかばうつもりはなかったが
僕は答えを書いたメモを
先生に気づかれないように浩子の机に置いた。
おかげで事なきを得て
浩子も先生から注意されずに済んだ。
それは別にカッコつけたわけでもなく
恩を売ったつもりもない
ごくごく自然な気持ちの流れからだった。
そもそも女子に恩を売るなんて
男子にあるまじき行為だと思っている、
僕なりの美学のようなものだ。
1日の中でほんの一言でも話すようになると
数ヶ月前のように全く気にも留めずに
スルーできない、それだけだった。
もちろん浩子に対して
何かしら「いいカッコ」をしたい、
その気持ちが全くなかったとは言わないが…
休憩時間になり、席を立とうとしたその時だった。
「ちょっと…いいかな?」
浩子から声をかけられた。
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