06. 融和揺籃

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これまでなら 二人の会話は多くても一言、二言で終わり 今日のような「キャッチボール」はなかった。 休憩時間になると僕はテルやトモキたちと、 浩子は美月や由里と行動を共にしていたから 会話する機会はほぼ授業中だけだった。 浩子にどのような心境の変化があったのだろう? それは僕には計り知れなかった。 もしかしたらあの時の消しゴムは わざと落としたのでは? 僕の反応を楽しむためだったのか? いや、そんなことをして何になる? ただ、どうしても僕には 浩子が無感情で冷たい人間には思えなかった。 むしろ何かが原因で このように感情を押し殺しているのでは?とまで 思うようになった。 今日はもう十分話せたな、と 次の授業の準備をしていると 間髪入れず浩子から話しかけてきた。 「あんたさ、英語の成績いいでしょ?」 「え?何でそんな事知ってんの?」 「月曜テスト…いつも上にいる、順位」 「あ、見てた?そんなの気にするタイプなの?」 「失礼なヤツ…」 「あ、ごめんごめん」 「ふふっ、まぁそうだろうね、イメージ的に」 浩子はそう言って自嘲気味に笑った。
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