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これまでなら
二人の会話は多くても一言、二言で終わり
今日のような「キャッチボール」はなかった。
休憩時間になると僕はテルやトモキたちと、
浩子は美月や由里と行動を共にしていたから
会話する機会はほぼ授業中だけだった。
浩子にどのような心境の変化があったのだろう?
それは僕には計り知れなかった。
もしかしたらあの時の消しゴムは
わざと落としたのでは?
僕の反応を楽しむためだったのか?
いや、そんなことをして何になる?
ただ、どうしても僕には
浩子が無感情で冷たい人間には思えなかった。
むしろ何かが原因で
このように感情を押し殺しているのでは?とまで
思うようになった。
今日はもう十分話せたな、と
次の授業の準備をしていると
間髪入れず浩子から話しかけてきた。
「あんたさ、英語の成績いいでしょ?」
「え?何でそんな事知ってんの?」
「月曜テスト…いつも上にいる、順位」
「あ、見てた?そんなの気にするタイプなの?」
「失礼なヤツ…」
「あ、ごめんごめん」
「ふふっ、まぁそうだろうね、イメージ的に」
浩子はそう言って自嘲気味に笑った。
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