06. 融和揺籃

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「月曜テスト」とは 我が校で毎週実施される英語のテスト。 毎週月曜の1時間目は英語 水曜の1時間目は数学の試験があり 成績優秀者の得点と順位が 掲示板に表示されるのだ。 僕は洋楽を聴いていたからか 英語はそれなりに成績がよかった。 「田仲さんの成績、俺より上の方じゃない?」 「そうだった、かな?アタシ成績とか気にしてないから」 「いつも名前が俺の近くにあるんで、ね」 「そうなの?今度見てみようっと」 我が校は定期テストの成績も 掲示板に貼り出される。 席が隣になるまでは 浩子の順位など気にも留めていなかったが ここ最近は自分の成績と同時に 浩子の順位を見てしてしまうようになっていた。 「俺は近くの順位の人と比べて『あぁ、あと何点取ってたら順位もうひとつ上なのに』とか考えて」 「負けず嫌いなんだ、アタシなんか追い抜いてっていいからね」 「精進します」 「がんばれよ」 「ははは」 「面白い」 あれ?浩子ってこんな人だったのか? 僕は極めて冷静に話しながらも これまでのイメージとのギャップに 少し戸惑っていた。
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