08. 発覚

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少しは距離が縮まったかのように感じたが 特別、親しく話すわけでもない。 「おはよう」 「おはよ」 「宿題した?」 「英語、ノート見せてよ、訳してないから」 「無料(ただ)で?」 「当然でしょ、早く」 逆にこれが浩子だから、と僕自身も その言動に対して何の違和感もなくなっていた。 彼女と会話をしているクラスの男子生徒は 僕以外には皆無だったから 例え、時に冷たくあしらわれようとも 浩子と「会話」していることに対して 妙な優越感があったのだろう。 そしてひとつ大きく変わったこと それは以前のようなまるで能面のごとく 無感情な浩子ではなくなっていた この事はここ数ヶ月での大きな変化だった。 きっと浩子は元々は例え愛想はなくとも このように気さくな性格だったのだろう。
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