08. 発覚

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「俺さ、昨日見てしまったんだよ」 「何を?」 「コウを、だよ。田仲と一緒だったろ?」 「え?」 すっ、と血の気が引いた。 浩子と一緒にいるところを まさかトモキに見られていた? 「俺、中学一緒だったし家が近くなんだよ あいつ、田仲のことは小さい頃から知ってる」 「え?まさか、トモキと…?」 「いや、それはないな」 「何で?」 「あいつは知っての通りあんな感じだから 男子はみんな敬遠してる、俺も近所じゃなけりゃ話もしてないよ」 「ま、少々絡み辛くはあるけど、今でも」 「何があったんだ?」 「何が?何もないよ」 「いや、そうじゃなくてさ、何であいつがコウに心を開いたのかなって思って」 何故トモキがこんなことを聞いてくるのか? 一筋縄ではいかない事情があるのは 彼の表情を見ていればすぐにわかった。 他人事にはさほど興味もないが これが僕に、そして浩子に関わることとなるなら 話は別だ。
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