08. 発覚

6/6
前へ
/317ページ
次へ
僕は慎重に言葉を選びながら トモキの問いかけに答えた。 「さあ、俺にもよくわかんないんだよ、 ある日、浩子から話しかけてくるようになったから」 「もしも、もしもだよ、付き合う気があるなら 俺も協力するよ」 それはあまりにも意外な言葉だった。 「いや、ちょっと待て、まだその段階じゃないだろ、それに何でトモキが?」 「昔は男子とも話してたんだけどね、それが裏切られたかイヤな思いしたかわかんないけど ある時から男子と口も聞かなくなってさ」 「え?」 「それ以上は俺も知らない、ただお前がその気なら、少しは力になれるかなと思っただけなんだよ」 「俺も正直、今はわからないな。気持ちだけはありがたく受け取っとくよ」 「この話は、田仲には内緒にしといてくれよ」 「わかった、ただトモキ、お前、本当に…?」 「俺が田仲に好意があるなら、田仲に好意持たれてるならこんな話しないよ、実は俺さ…」 名前を聞いて驚いた。 トモキが気になると言う女子… 澤木(さわき)実優(みゆ)は僕の幼なじみだった。 その全てが事実だとは受け入れ難い話だった。 核心は伏せておいて うわべだけを述べて僕を安心させている、 友人を疑いたくはなかったが トモキの話し方を見てそう思った。 何だか面倒な事になりそうな そんな胸騒ぎがする昼休みだった。 僕は僕だけで独りで気ままに動いていたいのに あれこれと複雑な(しがらみ)が絡み合いそうな そんな予感がした。 昨日、浩子が気にしていたのは 実はこう言う事態に発展すること… だったのかも知れない。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加