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「何か、かたつむりみたいだね」
「何が?」
「待ってる…だけでいいのかな?」
「美月が?」
「ううん、何でもない」
「よくわかんない、美月の考えてること」
僕は相変わらず由里とかたつむりの話。
「由里ちゃん知ってる?マイマイカブリって?」
「えー?何それ」
「かたつむりを食べるんだよ、ほらこの殻に頭を突っ込んで。その姿が帽子みたいだからそんな名前」
「ガブガブ食べるの?」
「いや、溶解液を出して溶かしながら…ドロドロと…」
「いやー!」
「あ、ほら、由里ちゃんの足元に…!」
「きゃー!」
由里とふざけていた僕には
浩子と美月の会話は全く聞こえていなかった。
例え聞こえていても
その言葉の意味は理解できなかっただろう
浩子ですらわからなかったのだから。
いや、浩子は敢えてわからないふりを
していただけだったのかも知れない。
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