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季節は巡りすっかり秋らしくなっていた。
気づけばこの日は僕の誕生日だった。
去年の今日は男子だけで牛丼を食べに行った…
そんな寂しい思い出しかなかったが
今年はどうなんだろう。
まさか「今日は誕生日です」なんて
自分から告知してまわるわけにもいかない。
そんな時、助かるのはおせっかいな友人の存在。
「コウ、今日は飯でも食って帰るか、誕生日だろ?」
切り出したのはテルだった。
「あ、いや、今日はやめとくよ」
「用事でもあるのか?」
「いや、そうじゃないけどさ、ちょっと行きたいとこがあってね」
「そっか、じゃあ来年だな」
別に用事があるわけではなかった。
今年は友達と過ごすより一人で、と言うのは
あくまでも名目で
本当は「何か」に
期待していたのかも知れない。
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