10. 誕生日

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「ふ~ん」 隣で浩子がいぶかしげな表情を浮かべて 僕を見ている。 「今日、誕生日なんだ?」 「そうだけど」 「何で友達と一緒に帰んないの?」 「いや特に理由は…今日1人練習で スタジオでも行こうかと思ってて」 「もしかしてさ…」 「何?」 「アタシがお祝いしてくれると思った?」 「…思ってねぇよ!」 「ちょっと期待してたでしょ?」 「してないって!」 「じゃ、何で断ったの?」 「え、だ、だから…」 「いいよ、お祝いしてあげる」 「え?」 「うれしくないの?」 「いや、そんな事は…」 「アタシがいてあげることがプレゼントだから、奢ってね」 「それか、目的は」 「あ、あと、あんたたちのライブ見たいって娘が何人かいるから連れてっていい?」 「いいよ、じゃ、テルにも声かけよっか?」 「それは任せる」 「そっちは誰が?」 「美月と由里もだけど、あと実優ちゃんと優果と…サキちゃん」 「まさか全部うちの奢りで?」 「宣伝費」 「お断りします」 「もう遅いよ」 僕と浩子の周りには 既に数人の女子が集まっていた。
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