10. 誕生日

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「そうなんだ、美月は知ってた?」 「知らないよ、今は高村くんのことなら浩子の方が詳しいんじゃない?」 「…そんなことないよ」 「実優ちゃん、あいつさ…」 「ん?」 「何か、いいヤツだよね」 「そうだね」 「バカだけど」 「うん、そうだね」 「そこ、否定しないの?」 「だって…バカだもん、バカだよぉ、色んな意味で」 「はは、わかる」 「そうだ、浩子ちゃん知ってる?高村くんは… あ、でもこれ話すと怒られるかな…」 「え?何の話?」 話を遮るようにサキが割り込んできた。 「高村くんとはサキも中学同じだったから たまに話すよ、釣りのこととか」 「え!サキちゃんて釣りするの?」 「うん」 「美月はそっちに驚いてるし」 さすがに女子が5人集まるとにぎやかだ。 しかし彼女たちの会話の中に 僕の名前が出ていた事などは 知るよしも無かった。
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