11. 生誕祭

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毎日こんなに話すようになった浩子ですら 知り得ることはお互いのほんの一部であり 未知の部分がほとんどなのだろう。 それを思うと人同士の関わりって とても重いことでもあるんだなと実感した 特に男女が付き合う、なんてことにおいては。 そんな思いもあってか後半、 僕は少し無口になっていたかも知れない。 そんな空気を察したのか 「何か辛気くさいぞ、誕生日だろタカムラ!」 お店の玄関を出た瞬間、浩子に笑われた。 「バレてた?」 「わかりやすい、どしたの?」 「財布の中身だよ」 「いいじゃん、おめでたい日なんだから」 本当はそんな理由ではなかった 浩子の事を知らなすぎる現実に 僕は少し苛立っていた。
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