12. 約束

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「好きなの?浩子のこと」 「うん、どうなんだろうね」 僕は少し考えながら言葉を濁して ふさわしい返事を探していた。 美月と浩子の関係性を考えると この会話が浩子に伝わる可能性もある。 美月のことだからそんなことはないだろうが 婉曲して伝わって誤解を生むことも懸念される。 「キライ、ではないよ…でも」 「でも?」 「さっきさ、いろいろ話してたじゃん。 何か人と人が関わるのって難しいなと思って」 「だよね、それは私も思う」 「でもそこで立ち止まってたら前に進まないんだよね」 「うんうん、わかるわかる!」 「でも立ち止まって考えることも大事だよね」 「そうそう」 「難しいね」 「難しいよね」 「あれ、何の話してたんだった?」 「忘れちゃった」 構わず美月は続けた。
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