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そんな中、先に一歩抜け出したのは
同じ中学出身のお調子者、三嶋祥二だった。
僕はここ数ヶ月、
祥二の行動を疑念の目で見ていた。
僕たちのクラスは毎月毎月、席替えがある。
席替えが大好きな男子、矢野智久が
我がクラスには君臨しているからだ。
智久は女子に対して
全くガツガツしたところがなく
男女関係なく飄々と
同じトーンで接することが出来るタイプで
智久が男女のパイプ役となり
「席替え委員」と化していた。
彼の狙いは自分に優位な席を得ることではなく
席が隣り合わせになる事で近づく
男女の心の距離が
更に縮まるのを見たいがために
率先して席替えを提案するのだ。
彼が女子との交際を望んでいない、と言うよりは
席替えがきっかけで
クラスの誰かと誰かが仲良くなっていく
そんなきっかけをわざわざセッティングして
「リアル盤少女漫画」を読むように
恋が生まれて、育っていく過程を
遠巻きに眺めているのが趣味なのだ。
まるで「恋愛御用達」の幹事
一風変わった男だが決して悪いヤツではない。
そう、何を話したかったのかと言えば
祥二の事だった。
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