13. レジスタンス

2/5
前へ
/317ページ
次へ
翌日、浩子は僕が教室に入ると 興味津々にこう尋ねてきた。 「どうだった?」 「何が?」 「美月」 「あ、無事に送り届けたよ、家まで」 「じゃなくて!」 「何?」 「こう何て言うかさ、後ろからギュっとして バッとなって、いや~ん!みたいなのはなかったの?」 「何でやねん、あるわけないって!」 「何にもなかったのか、つまんないの~」 「人をケダモノみたいに…」 「あれ、人間だった?」 「昔から人間です」 浩子がこんな冗談を言うなんて 珍しいな、と思った。 昨日の美月の言動にせよ今日の浩子にせよ 女子の内面はいつでも複雑怪奇だ、 全く予測がつかない。 一体、僕のどのような発言に 期待していたのだろうか? 仮に何かあったことを告げたら 浩子はどういう反応をするのか、には 少々興味はあったが そんなことを冗談でも口にする勇気はなかった。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加