16. 明日

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僕は浩子に聞いてみた。 「明日…」 「え?」 「あん時のお店でいい?」 「ハンバーガー?」 「何でわかったの?『あん時』だけで」 「そりゃわかるよ」 「ふ~ん」 「だって…安いもん、あのお店なら。 でしょ?」 「金欠、半端ないんだよ」 「ふっ」 「鼻で笑ったな」 「いいよ、出してあげる、お金」 「いやいやそれは無しだろ、せっかくの誕生日なのに」 「気にしなくていいって」 「ってことは…」 「ことは?」 「そっか、へへへ」 「何?気持ち悪い」 「いや、何でもない、じゃ明日」 「明日ね」 今回は僕の誕生日のようなことはなく 浩子と二人だ。 だからこそ つい態度と表情に出てしまった。 浩子のツッコミ通り 僕はとてつもなくニヤニヤしていたことだろう。
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