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き・し・ん22 戦い序章
どんよりとした空、陰鬱な気持ちで空を見上げる。舞は何時も通りに源や如月、正義に話しかけ、他の友達と一緒にトイレに行った。
その瞬間を見計らい、源と正義にこれから起こることを簡単に如月は説明した。
「あれ」が舞を喰らいに来ること、源と正義はなるべく近くにいて、それから私は「あれ」と対峙するから。
間の抜けた顔で源が、如月さんは普通の女の子なのに大丈夫かと何度か質問した。
如月は薄笑いで、私は強いからとしか説明しなかった。
皆んなが席に着き、一次元目が始まった、その瞬間「ドーン」と凄まじい音がして教室が揺れた。悲鳴を上げる女子生徒、その時だ、
如月か立ち上がり舞と源と正義に軽く触れ、
窓を開け、大きく手を振った。
源にも舞にも見えた。如月の指から無数のキラキラした糸の様なものが出て、学校全体を包んで行くのを。
三人にハッキリと聞こえる様に
「結界を張った。今からここが戦場になるから」
言うが早いが三階の窓から如月が飛び降りた。慌てて源と舞が駆け寄る。
天女の様にフワリと校庭に舞い降りる。
「うわー」思わず声を上げる。
二人を見上げた目は赤く光り、髪をかき上げる。両額には黒い角の様なものが見えた。
「なんだあれ」
源が驚いて声を上げた。
正義がゆっくりと立ち上がり、舞と源に説明する、如月の正体を。
怖いのに舞の目からはポロポロと涙が溢れた。
「私達を守るために命を賭して戦う彼女を思い」
その時、不快な音が三人の耳をつんざく。
「ぐぐぐぎゃぎゅやーーーー」
思わず耳を塞いだ。源は気が付いた、他の生徒はまるで時が止まった様に動かない。
片足で立ったまま窓を見る者、落ちた鉛筆を拾おうとして途中で屈む者。
源は理解した、あの時如月が俺達に軽く触れたのは動ける様に結界を解くためだと。
舞を挟む様に恐る恐る校庭を見下ろす正義と源。正義の手には「守り」が握られ、源の手には経典の様なものが握られていた。
この地に生まれし「守りの子ら」それが今まさに「力」を使おうとしている。
もの凄い風が吹き教室の窓ガラスが吹き飛ぶ、だがその破片は空中で止まっている。
如月の持つ凄まじい力のおかげで。
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