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き・し・ん24 戦い 盾なる者
教室の扉が「ガタガタ」と揺れている。
少し開いては閉じ、閉じては開くを繰り返す。
「邪鬼」
舞の言葉に正義と源が戦慄した。
源達にはハッキリと見えていた、細い絹の様な糸が幾重にも重なり教室全体を覆っている。如月の力なのだろう。「結界」正義はその言葉を頭の中で思い出していた。
舞が視線を校庭に向けると、フッと如月の姿が消えた。
次の瞬間
「バリバリ」
と床が軋んで、扉が吹き飛んだ。
「ひっ」
源が短い悲鳴を上げた。
鼻を突く異臭と共にそこに「邪鬼」がいた。
舞の盾になる様に自然に正義が右手前方、源が左手前方に立ち、正義は「守り」源は「経典」を手にそれぞれ何かを口走った。
「ぐぎゃーー」
耳を覆いたくなる不気味な声で「邪鬼」の首が変な方向に捻れた。
だが舞は見た、糸と糸のほんの少しの間に皺だらけの醜い手が入ってくるのを。
更に声を張り上げ、源と正義が「力」を使う。
ポタリポタリと血が床に落ちる。舞が視線を源の手、正義の手に走らせた。
そこから血が出ている。
だが正義も源も怯むことなく盾となり立っていた。
舞が
「大丈夫」
と声をかける。
二人はほぼ同時に振り向き笑っていた。
舞の目から涙が溢れた。
「じょじょびょじゅじゅずりゅるな」
源にも理解できた。
「邪魔をするなと」邪鬼が叫んでいるのを。
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