き・し・ん25 戦い 紳器

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き・し・ん25 戦い 紳器

如月はあの社にいた。 手を振る、大きな白木の扉が音もなく開く。 そこに祀られている「武器」を手にするため。「長老」と呼ばれ、最強の鬼と恐れられ、最後には人との共存を選んだ彼が使いし「武器」。黒光りする鞘、細長くけれどただならね気を放っている。 「豪鬼、お久しぶりです。貴方の力をお貸し下さい、どうかこの私に」 それに応える様に社がガタガタと揺れた。 膝を突き如月は深く頭を下げ、そこに佇んだ。 「ずしり」と両の手に重さが伝わる。驚いて目を開けると黒い「紳器」が使えとばかりに黒光りしている。「スラリ」と鞘から抜く。 長い刀身、黒い姿に赤い墨で龍が登る様子が描かれている。一振りすると真っ二つに扉が切れ吹き飛んだ。その力を誇示する様に稲光が地面に落ちた。如月の赤い目が妖しく光り 「うおーー」と咆哮が轟いた。 「待ってろよ邪鬼、きさまの体はこの黒刀で切り刻んでやる」 言うが早いか、如月の姿は風と共に消えた。
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