うつり木 3
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うつり木 3
その老人はただ佇んでいた。 古ぼけたジャケット、よれたズボン、擦り切れた革靴。一見すると何処にでもいる年金生活者。だがその眼光は異様なまでに鋭く、よく見ると拳は鍛え上げたそれを意味していた。 幹線道路に立つその老木を歩道橋の上から見て、口元は何かを唱えている。 空は今にも雨が降り出しそうで、今夜には大荒れになるだろう。
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