うつり木 7

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うつり木 7

その時不意に悟から沙織の携帯に着信があった。沙織は飛び上がるほど驚いた。 慌てて携帯をポケットから取り出す。 「悟です。今忌地にいますね」 沙織はドキリとした。それがとても良くないことを意味するからだ。 「はい、この前お話しした例の場所です」 「そこから今すぐに離れてください、貴女には未だ祓う力はないから」 その意味を理解する前に急ブレーキの音がした。慌ててそちらを向くと、小型のトラックが真っ直ぐに「木」に向かい突っ込んでくる。その間に彼等が立っていた。 「危ない」思わず大声で叫ぶ。 悲鳴、飛んでいく体、アスファルトに叩きつけられる丸川。その瞬間沙織は九時を切っていた。悟に見られたら怒られるだろう。半端な術式はそのまま術をかけた者に返ってくるからだ。
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