うつり木 17

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うつり木 17

天の川建設に翌日には社内LINEで野口と佐藤の事故の件が知らされていた。 丸川は病院のベッドて鳴咽を漏らし、月上は短い悲鳴の後に給湯室に駆け込んだ。 起きたのだ「怪異」が。月上は直感した、あれに近付いた時の違和感、脇の下に流れた汗。「あれ」は警告していたのだ、命が近付くなと。その後の記憶はぼんやりとしていた。 喪服を着た社内の仲間、幼い野口さんの娘さん、佐藤のご両親の震える肩。かける言葉が見つからず、ただ頭を下げていた。 あの瞬間、沙織は思わず玄関に視線を送り守りの呪文を唱え、悟は数珠を握り「おん」と気を発していた。悟は知ったのだ、「あれ」は地に張った根で近付く物の思念を読み取り、怖いと思ったり、興味本意で覗こうとする全てに対して攻撃を仕掛ける。全身に怖気が走る、勝てるのか? 近付くことも難しい「あれ」に対して俺達は。
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