うつり木27 いにしえ

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うつり木27 いにしえ

「パンドラの箱」悟も沙織もその言葉の真意を考えた。だが今は目の前の怪異と対峙することに集中する。一瞬でも気が緩めばそれは死を意味するからだ。 各々が口の中で呪文を唱える。己を鼓舞し恐怖に打ち勝つために。 ここに来た時から足元が「ドンドン」と揺れている、結界が張ってあるとはいえあれだけの力を持つ化け物だ。 沙織は己の体を貫く根を想像した、それを吹き飛ばす様に更に声を張り「己が力この怪異を封印し帰すべきところに帰す」「御 御 御 御」 悟は感じていた、ここに父がいる、そしてあいつも。何故「傀儡」を感じるのか分からないがその嫌な感触は耳に目に鼻に手先にと霧の様に体にまとわり付く。
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