うつり木30 邪悪

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うつり木30 邪悪

「さ ち」は己が体を変形させていた。 「根」を何本か千切り赤黒い血が出るのも構わずにそれに別の「意思」を与えた。 水川は感じていた、足元で何かが起きている。そう感じた次の瞬間鋭い槍状の根が地面を突き破り、悟、沙織、水川に向かって飛んできた。辛うじて結界で止まり地面にボトリ、ボトリと落ちる。落ちた根は蛇の様にグネグネとのたちまわり動かなくなる。 「ゴボ」水川は吐血した。「先生」思わず悟が叫ぶ。沙織は余りの恐ろしさに吐きそうになりながらも必死で踏ん張り気を放つ。 「持たない」水川は感じた。ここで祓わなければまずい。 「いいぞ いいぞ いいぞ」 あの爺いは弱っている。その内臓を抉り出して食らってやる。 足元が「ドン ドン ドン」と揺れた。
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