き・し・ん18 告白

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き・し・ん18 告白

その日の学校帰りは、舞と源と正義と如月は舞を守る様に回りに視線を配り帰路に着いた。 帰り際に如月から源と正義に 「舞は何かの怪異に巻き込まれようとしている。それは彼女の生い立ちと関係があるかもしれない」 と聞かされ、彼等は巫女の家系である舞の身に何かが起きるのを恐れ、如月の話、学校での事件、カラスの死体。それら点が繋がり自分達の身に良くないことが起きているのを理解した。 下駄箱で、正義は如月に舞と源と別れた後に話したいことがあると伝えた。 如月は表情を変えずに頷き、正義に微笑んだ。 舞の家まで源が送ると言い残し、如月と正義は手を振って 「また明日学校で」 と別れた。 正義は緊張してきた、荒唐無稽とも思える話を転校したばかりの彼女に話すのを。 それを察してか 「もう気が付いているのでしょう、私の力に」 彼は背筋がゾクリとし、カバンの中の「それ」に手を伸ばした。 「私は敵でないから今は必要ない、でもその時が来たら使いなさい」 喉が渇く、正義はやっと 「如月さんは知っていたの、この柊の守りを」 無言で暫き歩くと、不意に木の階段が目の前に現れた。 「ここ、私の家」 正義は子供の頃からここに住んでいるが、こんな木の階段があるあったのは記憶にない。 「これって」 戸惑う正義を尻目に、如月は階段を登っていく。仕方なく正義も後を着いていく。 どのぐらい続くのか、そう思った瞬間に如月が正義の手を掴んだ、ドキリとしその手を離そうとすると如月は 「ダメ、ここからは私と手を繋いで歩かないと記憶に残らない」 意味が分からず、思わず聞き返す 「記憶を消される、まさかそんなバカな」 「結界が張ってあるから、下界と異界を分けるために」 混乱する頭で正義は考えていた。異界? まさかあの事件の要因は彼女にあるのでは。 その時マスクの様な布で如月が口を覆う。 「ごめん、その匂い苦手なんだ、柊の匂い」 彼は悟った、彼女は全部知っているのだ、俺の家系が代々「鬼」から街を守り、この「守り」と呪文でそれと対峙したのを。 「着いたよ」 如月が手を離す。正義は口をあんぐりと開けて間の抜けた顔でそれを見た。 そこには立派な白木作りの社が立っていた。 「さあ、話しましょう、何故私がこの街にきたのか。そして何と戦おうとしているのかも」 彼女は自然な動作で前髪をかき上げる。 その両の額には短い黒い角があった。 「ひゃっ」 正義は短い悲鳴をあげ 「お、鬼」 と掠れた声で呟いた。
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