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教室はとても静かだった
教室はとても静かだった。
そこで俺は、ようやく一息つくことができた。
萌香と別々のクラスで本当に良かった。
珍しく早くに来たもんだから、教室内はとても静かだった。
「おはよう」
一人だけいた女子に俺はそう挨拶をした。
彼女は朝の静かな教室で読書の真っ最中だった。
彼女が顔を上げてこちらを向く。かけているメガネが日の光を反射してきらりと光った。
焦げ茶色の髪をお下げにした、何とも知的な雰囲気を漂わせる彼女は、名前を大石静香という。
地味だし、物静かだし、正直なところあんまり喋ったこともない。
でも、彼女しかいないからって無言で教室に入るってのもなんか違う。
「おはよう」
彼女はぽつりとそう返事をくれた。
教室が空で無かったら、聞こえなかったかもしれないボリュームだ。
ともかく、挨拶は済ませた。
大石は再び本に目を戻し、俺は机に突っ伏してすぐに寝た。
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