聞こえない君に

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無事に教室に着き席に座る。 政井くんは前の方に座っている。 目...悪いのか? 「シルク!」 「おーモトキ!お前もここだったんだ」 「今日はね。てかさっきの人誰?イケメンくん」 「あー教室分かんなくて案内してくれたんだよ」 「あーなるほどね」 こいつは中学からの付き合いがある元木海通称モトキ。 送ってくれたンダホ(本田智秋)とモトキと俺は中学からの腐れ縁ってやつだ。 同じ大学だとは聞いてたけど学科も同じだったとは知らなかった。 まぁ、知ってたらモトキと行ってただろうし、政井くんとは会えなかったかもしれないから、知らなくても良かったのかもな。 しばらくして先生が入ってきて授業が始まる。 後ろの方に座った俺は前を向くと自然に視界の片隅に政井くんが入る。 カメラが机に置いてあり政井くんはひたすらノートに黒板の文字を写していた。 なんでカメラ?と不思議におもったが、俺も授業に集中しないといけなかったから考えることをやめた。 「では今日はここまで。お疲れ様でした」 授業が終わり次のまで時間があった。 「モトキ次は?」 「すぐにあるよ~」 「すぐか。俺もあるけど時間あるからちょっと腹満たしてくるわ」 「ほーい」 モトキに別れを告げ学食にでも行こうかと出口に向かう。 ふと政井くんのことを思い出しクルリと向きを変え、政井くんが座っていた場所を目指す。 トントン 『?』 『どーも。次も授業ある?』 『あるけどまだ時間あるよ』 『ならメシいかない?嫌じゃなきゃだけど』 『いいよ』 スマホでの会話。 なんだか変な感じがして当たり前だけどまだ慣れない。 政井くんはノートやらを鞄にしまい、最後にカメラをしまった。 そうだ、カメラ。 気になってんだった...後で聞こう。 食堂へ向かう間に会話はない。 スマホ見ながら歩かなきゃならねーから危ない。 だったら早く目的地についたしゃべったほうがいい。 ただ、政井くんと歩いていて分かったのは、このイケメン顔だ。 みんなが振り返る。 本人はまーーったく気にしてないようだけど。 そんなこんなで食堂についた俺達は軽く食べることにした。 席を見つけやっと落ち着いてしゃべれる。 『あのさ気になってたこと聞いていいか?』 『?』 『授業中、カメラ出してただろ?あれなに?』 『録画してた』 『録画?』 そういうと政井くんはさっきしまったカメラを見せてくれた。 再生ボタンを押すと先程の授業の様子が映し出される。 だが、映し出されているのは黒板だ。 『ノートに写しきれなかった部分を後で書けるように』 『..........』 そうか。 政井くんは先生の声は聞こえない。 だから黒板に書かれること以外の情報がない。 そのせいで俺達聞こえるやつらよりもノートという存在が大事になってくるのか。 だが、黒板はそんなにでかいく広い面積ではないため、全て埋まれば消されたりしてしまう。 だから録画か。 『大変だな』 『慣れちゃったよ』 『..........いつから、聞こえねぇの?』 『生まれつき』 22年間...か。 そりゃ慣れてしまうかもしれないな。 俺じゃ考えられないな。 その日は耳のことについてはもう話さなかった。 代わりにマサイ(呼び捨てでいいと言ってくれた)のことや俺のことを話した。 マサイはカメラが趣味で今まで撮ってきたいろいろな画像を見せてくれた。 どれも綺麗で何よりマサイが嬉しそうに見せてくれるのが俺も嬉しかった。
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