SOLATE

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SOLATE

 見えない道を私は一人で歩く。  いつまでも。  どこまでも。  でもね。  その隣に君がいた。 「ねぇ。どうしてなの――……?」  答えてよ。  シン。  * 「マキちゃん。一緒に帰ろう?」  甘やかな顔。優しい性格。抜け目のない行動。  弱点を探す方が難しい。  だから。 「嫌いなのよ。私は」 「え?」  シンが豆鉄砲を食らったような顔を浮かべる。  意味が分からない。  そうでしょうね。 「なんでもないわ。帰りましょ」 「うん」  二人。  一緒に教室を出る。 「ねぇ。シン。貴方はどうして――……」 「ん?」 「なんでもないわ。忘れて」 「?」  どうして。  貴方は私の手を取るの?  自然に。  当たり前のように。  いつもそう。 「一人でいいのよ。私は。ずっと」 「寂しいこと言わないでよ。マキちゃん」  ニコニコと笑う。  嫌。  嫌い。  小さな息が漏れてしまう。 「言えたらいいのに」 「言ったらいいよ。ぜんぶ。ね」  私の気持ちを知ってるクセに。  そういうコトを言うんだ。  イジワルな人。 「貴方のこと。本当に嫌いなの。私は」 「そっかぁ」 「あのね。嫌いなの。ちゃんと分かってる?」 「うん。知ってるよ?」  でも。  手は離してくれない。  変な人。  私は自分が大嫌いだ。  愛せない。  人を。  自分を。  でもね。 『〝自分を愛せなきゃ。人を愛することなんて。出来ない〟』  愛したいよ。  貴方を。  抱えたいの。 「大丈夫」 「え?」  シンは握る手に力を込める。  熱。  想いが伝う。 「言わなくてもね。ちゃんと分かってるから。僕は」  甘えてしまう。  でも。  ダメなの。 「分からなくて。いい。私は――……」 「いいよ。今は。それで」  ニコリと笑う。  優しい人。 「いつか。ちゃんと言うから。私の口から」 「うん。待ってる」  ありがとう。  大好きだよ。  心に在るこの言葉を伝えたい。  いつの日か――。  *  今日も私は一人で歩く。 「待ってるって。そう。言ったのに」  嘘吐き。  言葉はもう届かない。 『〝明日が続くなんて。誰が。決めたの?〟』  分かっていなかった。  馬鹿だったの。 「ずっと。大好きでした。貴方のことが――……」  遠くに霞む貴方に向けて。  告げる。  滲んでしまうほど歪んでしまった。  視界の中で。  冷たい石碑。  上がる煙。  so late. 〈了〉
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