体育祭

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ずっと、ずっと葉山愁のことが苦手だった。いつも皆の中心にいて、ニセモノの笑顔を貼り付けて笑っている彼に昔の面影などなかった。 僕の良く知っている葉山愁と現在毎日のように一緒にいる羽目になっている葉山愁はまるで正反対で、時折どちらの葉山が本当の葉山なのかと思うこともある。 _______________遡ること約1年前 ある日。ある桜が舞い散る日の早朝。僕達は3年ぶりの再会を果たした。 ______________________________筈だった 初めて葉ノ宮の校門をくぐった日。 ひらひらと舞う桜に手を伸ばしている春の光に包まれた君を見つけた。 なんだか涙が出そうだった。 次は絶対にその手を離さないと心に決めていた。 「しゅ、愁…だよね?」 懐かしい響きだった。 ずっとこの名前を呼びたかった。 「どちらさま?なんで俺の名前知ってんの」 しかし返ってきた言葉は予想とは真逆のものだった。 僕の心の軸になっていたものが一瞬にして崩れ去った。そんな感覚に陥ったのはあの冬の日以来だった。 覚えていたのは僕だけだった。 会いたいと強く願っていたのも僕だけだった。 大切に思っていたのも僕だけだったのかな。 僕があの日、逃げ出したから? 突き放したから? 僕の居場所は君の隣しかなかった 君の居場所も僕の隣だった あの頃の僕は弱すぎたんだ。脆すぎたんだ だから君を置いて1人で走って逃げだしてしまった これは天罰。愁を1人にしてしまった天罰なんだ。 悔やんでも悔やみきれない。過去は変えられない。今の僕に出来ることは… かつての君を忘れること。唯それだけだった
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