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“葉山 萩”
僕と同じ2年1組に席を置くアルファで、眉目秀麗、頭脳明晰。運動神経も良く明るく皆の人気者で校内では『王子様』と呼ばれている。
_________そして葉山は小等部時代の親友でもある。
「生徒会長の言葉。生徒会長は前へどうぞ。」
まぁ元親友といっても、6年の秋頃からお互いに会わなくなって自然消滅したようなもので、それに向こうは僕のことを覚えていないみたいだし。
「…会長」
耳元で突然声がして、慌てて横を見ると至近距離の葉山の顔がそこにあった。
高身長で鼻は高く、顔のパーツの一つ一つがバランスが取れており、綺麗な肌に茶色の瞳とチョコレート色の髪は正にどこかの王子様のような風貌で、モテる要素しかない。
うっ…ムカつくくらい整った顔だな…
「呼ばれてますよ」
「わ、分かってる」
司会に呼ばれたことを忘れ、葉山の顔を見つめてしまっていたことが恥ずかしくて、それを隠すかのように足早にマイクの前へ歩いていった。
今は式典に集中しなければ。
ふっと息を軽く吐き、マイクに手をかけ顔を上げる。
大丈夫、怯むな。僕ならやれるさ
「前期生徒会長になりました。森宮瑞樹です。この度は前生徒会長と副会長が留学をされた為、先輩方に任命される形で前期生徒会は構成されました。まだまだ未熟ではありますが、この学園がより良い所となるように力を合わせ、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします」
全てを言い終わり、最後に丁寧にお辞儀をすると、会場から割れんばかりの拍手が鳴り響き、安堵した。
そうして僕はオメガ初の生徒会長になった
オメガは生殖率が低いことからアルファやベータよりも劣っているとされ、まだまだ偏見もある中、生徒の7割がアルファで、能力至上主義を掲げる葉ノ宮でオメガでありながら生徒会長という立場に立つということは生半可な気持ちではやっていけないだろう。
それでも。それでも僕は自分自身を証明したい。運命なんてものに流されたくない。オメガにとっての幸せはアルファと番になることなんて誰が決めた。
絶対に誰かに屈したりなどしない
オメガの幸せなんていらない。欲しくない
僕が欲しいのは自由な人生。
ただそれだけだ
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