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「ほら、やっぱり!
おい、月影、久しぶりだなぁ」
チッ。
どこかシニカルな笑いをうかべた男に、太一は小さく舌打ちした。
「すると、麦田警部はこの男とお知り合いでありますか」
真面目そうな警察官の一人が尋ねる。
「ああ、警察学校の同期だ。
…いいだろう、来いよ」
麦田と呼ばれた警部は、もう一度玄関の中に踵を返した。
「い、いけません!
いくら警部の知り合いでも、一般人を現場には__」
麦田は警官を一括した。
「いいんだ!
なあ月影?お前も自分の手で、被疑者助けてやりたいだろ?
おーいおまえら、ちゃんと被疑者捕まえとけよ。
クックッ…もと捜査一課の刑事の、お手並み拝見といこうじゃないか」
「えっ、OBの方でありましたか!それは失礼を」
律儀な警官は、太一にまで敬礼を返す。
チッ。
苦い表情を浮かべた太一は、それでも黙って、麦田警部の後に従った。
「先生~、お願いしますよ~」
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