現場検証

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現場検証

現場はまだ、事件当時のままで保存されていた。 この家は、玄関を入るとすぐにドアがあり、リビングに繋がっている。 土地の狭い、住宅団地らしい間取りだ。 被害者(ガイシャ)は、リビングと玄関を隔てるドアの付近で仰向けに倒れていた。 緋色のネクタイが、首に不自然な形に巻かれている。 「被害者(ガイシャ)岡本雄大(おかもとゆうだい)、40歳。この家の主だ。死因は絞殺による窒息死。体温から、死亡推定時刻は午後12時から14時の間」 遺体を調べる太一の横で、麦田は淡々と説明する。 「ケガをしてるな。後頭部と拳に」 「ああ、後頭部は倒れた時に打ったもの。拳は、犯人と争った時のものってことだ。 なんだよ、もういいのか?」 「…ああ、いい。ところで麦田、あちらは?」 太一は、ビニール手袋を麦田に返すと、リビングの方を指差した。 ソファに、放心したような女が座っている。 「ああ、あれは岡本の妻、操子(みさこ)だ。事件当時、夫と一緒に家にいて犯人に襲われた。 ショックを受けているようだから、事情聴取は明日に…おい、太一?! …ったく、相変わらずなんだから」
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