まぜまぜにんじん

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まぜまぜにんじん

ゆうきちゃんは5さいのおんなのこで、にんじんがきらいでした。 ママがつくるりょうりにはいっているにんじんは、ついのこしてしまいます。ゆうきちゃんはにんじんいがいのやさいはたべれますが、にんじんだけはたべません。 ゆうきちゃんはきょうのゆうはんであるやさいいためにはいっていたにんじんをたべませんでした。 「どうしてにんじんをのこすの?」 ママはこまったかおをしてききました。 「だっておいしくないんだもん」 ゆうきちゃんはいいました。ゆうきちゃんがにんじんをきらいなのは、にんじんのあまいあじです。 「にんじんにはゆうきちゃんをおおきくしてくれるえいようがあるのよ」 ママはいいました。 ママもママでゆうきちゃんがにんじんをたべれるようにりょうりをしてくれてるのはわかってはいましたが、にんじんぎらいをなおすのはかんたんではないのです。 それからしばらくたってのことでした。ママがゆうきちゃんのためにホットケーキをやいてくれました。 「ゆうきちゃん、おやつよ」 「はーい」 ゆうきちゃんはいすにすわりました。ママはホットケーキをゆうきちゃんのまえにだしました。 「きれいないろだね」 ゆうきちゃんはいいました。 いつものホットケーキとちがいオレンジいろだからです。 「たべてみて」 「うん、いただきます」 ゆうきちゃんはママにいわれるがままに、ホットケーキをてでつかんでたべました。 あまくておいしいあじが、ゆうきちゃんのくちにひろがりました。 「おいしい!」 ゆうきちゃんはいうと、ホットケーキをあっというまにたいらげてしまいました。 「たべてくれてよかったわ」 ママはうれしそうにいいました。 「じつはね、いまのホットケーキのなかにはにんじんがはいっていたのよ」 「えっ……そうなの」 ゆうきちゃんはおどろきました。きれいでおいしいとおもうだけで、きにはなりませんでした。 「ぜんぜんきづかなかった」 ゆうきちゃんはいいました。きらいなにんじんでもすんなりたべれたからです。 「だまっていてごめんね、ゆうきちゃんににんじんをたべてほしかったの」 「いいよ、にんじんいりのホットケーキおいしかったから、またつくって!」 ゆうきちゃんはげんきよくいいました。ホットケーキのなかにはいっていたにんじんがおいしくたべれたので、またたべたくなりました。 りょうりしだいではきらいなにんじんもおいしくなるんだなと、ゆうきちゃんはおもいました。 ゆうきちゃんのにんじんぎらいは、にんじんのホットケーキをきっかけに、ゆっくりとですがこくふくしていきました。
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